In other words, I love you
- 作者: 二宮ひかる
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2009/08/10
- メディア: コミック
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1巻のレビューで僕は「かつての『二宮ひかる』的要素を全てネタ化している」と評した。
2巻のレビューで僕は「『本当のこと』を知りたいと思い、『本当のこと』なんて知っても役に立たないと感じる畑中さん=読者に対して、その欺瞞と偽善を暴く――そんな展開が、あると、いいなあ」と評した。
さて、3巻だ。
いやあ、本当に、ひどい。
作者の二宮ひかるはこの作品に対して「キレイゴトに逃げた」と語っている。その通りだ。キレイゴトに逃げて、「本当のこと」を隠ぺいした。もちろん全然、隠ぺいできていないわけだが。
そう。畑中さん=読者は知っている。本当のことを知っている。聞いてみたら「なぁんだ」というくらい、ありふれた、どこにでもある、ひどく救いのないこの結末の真実を知っている。でもいわない。だって嘘つきの浅見さんは「絶対に会える」といってくれたのだから。畑中さんの夢の中で。
……ダメだ、あまりにもいろいろなことが渦巻いて、うまく言葉にできない。この漫画は、物語としては破たんしている。唐突な終わり方は打ち切りを予想させるし、作者自身も実験作であり、同時にそれが失敗したことを示唆している。だからこそ、とてもとても美しい最終話の浅見さんを見ていて吐きそうになってしまう。
なんにもわかってないと
なんにもできないのかな?
その言葉は希望のように聞こえたけど、実は絶望だったのかもしれない。
本当のことは、知りたいけど、わからない。役に立たない。わからなくても救いたい。そう、それこそが欺瞞なのだ。
だって、ねえ?
FLY ME TO THE MOON
ラストで「FLY ME TO THE MOON」が出てきます。畑中さんは残念ながら歌詞を知らないので、浅見さんの意図がわかりません。まあ、普通はアレですよ、「In other words, I love you」なわけだけど……「To be sure that you'll know what I'm saying」だからねえ。ああああああああああああ。
……とまあ、失敗したーってな打ち切り漫画をここまで深読みして勝手にダメージ受けるのは俺くらいだろうね。いや、よく3巻続いたなと思うけどな。あーだめだ、ひどい。俺が。