DOMMUNE 2 the Floor、あるいはメディアとしてのUstreamについて

 ご存じの方には今さらだと思いますが、DOMMUNEがすごいことになっています。
DOMMUNE
 天才・宇川直宏プロデュースによる「Streaming Floor」。金曜土曜を除く毎日、19時から21時までトークライブを、21時から24時までDJ StreamingをUstreamで生中継しています。
 トークライブの方も、いまはなき伝説のテクノ雑誌「ele-king」の番組をやっていたりと恐るべき内容ですが、DJの方も人選がおかしい。開始当初は日本人が中心だったのですが、先週木曜日はSteve Bugが、そして本日(日曜日)はSammy Deeが登場しています。なにその豪華な布陣。たぶん、Tobyちゃんが「回してよー」と誘ったんだと想像。ちなみにBugはあまりにも素晴らしかったので、思わず音をミキサーに、映像を液晶テレビにつないで、部屋を真っ暗にして酒をかっくらいながら堪能しました。この文章はSammy Deeを聴きながら打っています。

2 the Floor

 Ustreamでは少し前から「DJの配信」が行われてきましたが、DOMMUNEはいわゆる「DJの配信」ではなく「Floorの配信」です。会場には50人のお客さんを入れて、あくまで会場=FloorそのものをUstreamで中継しているわけです。そこにあるのは「Floorとの競合」ではなく「Floorへの誘い」という思想でしょう。金曜と土曜は配信を行っていないのが何よりもの証拠です。週末はクラブへ行けということです。さすがは現場主義者の宇川さん。
 それにしても、ディープなミニマルテクノUstreamに乗って4000人近くの人間をLockしている光景は、非常にクるものがあります。Twitterで狂喜乱舞するVirtual Freaksの言葉が可視化されているのが非常に興味深い。
 そういえば、僕はかつて「イベントや勉強会でLightning Talksをぶつけ合うエンジニアたちの姿は、クラブでプレイするDJたちの姿と重なる」ということを書いたことがあります。エンジニアたちはかなり早くからUstreamでイベントや勉強会の中継を行っていました。ようやく、Floorがそれに追いつきました。
 どちらも、気軽にアクセスできるようになりました。そして、気軽にアクセスできるようになったがゆえに、現場に行かなければ得られない「価値」に気付くようになります。そこには「メディア」の持つ力を感じます。Ustreamは確実に「メディア」としての重要性を増大させていると感じます。

クラウドの声

 ところで、先週木曜日のSteve Bugのとき、一瞬「Floorの客の声」を音楽と合わせて配信した時間帯がありました。「ヒャー」とかいう歓声だけでなく、普通の雑談まで配信されてしまったため、Twitter上でブーイングが上がりました(それを見たスタッフがすぐにFloorの声を切りました)。試行錯誤中なのだと思いますが、個人的にはFloorのガヤガヤした感じが音楽と一緒になって飛んでくるのは、まさに「Floorの配信」っぽくて面白いと思いました。