YMOがiTunesにやってきた記念その2/いわゆる「テクノデリック」のファンクネス

2枚目は、先日取り上げた「BGM」と並んで「YMO最高傑作」と称される「テクノデリック」です。
細野さん寄りのBGM、坂本教授寄りのテクノデリック、というイメージですね。
ジャケは初回限定はYMOの3人だったとか。でもこのジャケも好き。

民族音楽とサンプリングとファンクネス

BGMと同じく「暗いアルバム」のイメージがあるテクノデリックですが、こんなにファンクなアルバムだったのか! と再発見させていただきました。基本的にはミニマルなんだけど、めちゃくちゃファンクだよ、これ。
サンプリングを使用した音楽作品としては最初期の部類に入る本作。テクノというより、後のサンプリング・エレクトロニック・ミュージック全般への影響が尋常ではありませんね。

PURE JAM、SEOUL MUSIC、TAISO、KEYなどなど、渋い名曲が目白押し

ビートルズを彷彿とさせる幸宏氏のコーラス("This must be the ugliest piece of bread I've ever eaten"……ひどいw)で幕を開ける「PURE JAM」でスタート。いきなり名曲すぎるでしょう……。シンセがうねうねしていて気持ちいい。で、そのままインドネシアのケチャな感じの2曲目「NEUE TANZ」、ピアノの低音がカッコよすぎる「STAIRS」を経て、坂本教授の真骨頂爆発「SEOUL MUSIC」へ。よほど韓国旅行が楽しかったのですね教授! フクチキフクチキと声のパーカッションが気持ちいい。「ちきちきちきちー」という声のハイハットと細野さんのベースが印象的な非常に美しいトラック「LIGHT IN DARKNESS」で前半終了。
後半はいきなり躁病になったかのようなピアノミニマル「TAISO」でスタート。ジョン・ケージの「プリペアド・ピアノ」みたいな曲を、と言われて坂本教授が作ったそうな。「前へならえ!」「右向け右!」「痙攣の運動!」などと日本語で叫ぶミニマルなのにポップな1曲。拡声器を持つ教授の姿が脳裏に浮かびます。続いて細野さんの渋い1曲「GRADATED GREY」。歌声も渋い。渋すぎる。で、CUEの続編であるデケデケしてる「KEY」を経て、坂本教授の至高のミニマル「PROLOGUE」と「EPILOGUE」で〆。工場や鉄工所の音がたまらない!

テクノデリックが見た未来

2011年になって聴いても、このクオリティの高さ。サンプリングとミニマルとファンクをベースとするすべてのミュージシャンが平伏してしまうんじゃないかというくらい、渋くも美しく、カッコいい1枚です。
サンプリング・ミュージックの現在は、テクノデリックに負けないものになっているのでしょうか……とか考えつつ、もう1回聴いてきます。


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